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第14回紛争解決手続代理業務試験 解答指針 [特定社労士]

本日は、第14回紛争解決手続代理業務試験でありました。受験された皆様、お疲れ様でした。

17時前に、試験問題を略奪してきて、帰り道ちらちら見ていたのですが…倫理で、社会保険労務士法第22条第2項4号ないし5号が出てきたと思ったら、13回試験の焼き直しでしたf^^;

解答作成は比較的、すんなりできたのですが、錯誤(民法)の解釈だったので、その点で時間が…。ホントのところは、晩ごはんの準備なので遅くなったのでありました。

え! 早く解答指針行けってか[exclamation&question]

この解答指針は、試験問題を手に入れて、2時間ほどの制約の中で作っています。したがって、模範解答ではありません。また、3月の合格発表の出題の趣旨によって、5月ごろに出します、過去問解答例の内容が変更になることがあります。

ここでの位置づけは、このような内容で書けていれば、合格が期待できるという内容ですので、その点ご了解ください。なお、この解答指針によって、皆さんの合格が左右されることはありません。解答の1つの例だと思ってください。



第1問

[事件の概要]
Y社では、入社1年目は見習い期間とし、先輩社員と同行し営業の仕組み等を学び、2年目からは、営業職3級に格付けされて3年後には、年度毎の営業成績と効果で、職務等級が2級、1級と上がっていき、同時に受注した金額に対する歩合給の割合も高くなるシステムである。その反面、同級職の下位から10%の業績しか上げられない場合は上長から面接とカウンセリングがあり、2年度連続して10%以下の成績しか上げられないと、勤務成績劣悪で業務不適格とされ退職勧奨が行われ、これに応じないと解雇されるという会社であった。

Xは、3年前の平成27年10月1日付で営業社員として中途採用され、2年連続下位10%となり、通勤手当の不正受給と相まって、支店長から退職勧奨がなされ、錯誤により、退職届に自署した事件で、錯誤を理由に、本件退職届は無効であると、あっせんの申立てを依頼してきた事件。

小問(1) 解答指針
Xは、通勤手当については、復職後交渉すると言っているため、今回は請求から外すことになります。また、遅延損害金は問題文のかっこ書で、記載しなくてよいとあるので、これも、請求の中には含めません。1か月分の特別退職金に関しては、退職無効を言うのですから、今後の賃金支払い日に支払われる賃金に充当する旨記述しておきます。

 Y社から、「Xは退職無効と言っているが、特別退職金を返還してこないということは、退職を容認している」と言われかねないので、念のため、そのの措置を講じます。

解答例
XはY社に対し
① 雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認
② 平成30年11月1日以後、本件解決の日まで毎月20日限り支払済みを除き、金34万円の支払い
を求める。なお、Y社より支払われた1か月分の退職金は、当該毎月20日支払いの金員に充当するものとする。

小問(2)(3) 解答指針
小問(2)で、「退職の意思表示が民法第95条の錯誤による無効である……」と記述があり、錯誤に関する条文が掲載されている以上、小問(4)で同法26条の詐欺又は強迫を理由に無取り消しを求めたら、減点になると考えらます。ただし、かっこ書に「Xは脅迫を受けて退職願いを出したこと」がありますので、この結果、錯誤に至ったという展開もアリではないかと考えています。

ちなみに、錯誤による無効を主張するためには、①法律行為の要素に錯誤がある(懲戒解雇より自己都合退職がいいと思い込んでしまった)ことがある、②表意者に重過失がないことが無効を主張する根拠になります(平成32年4月から、錯誤は「無効」ではなく「取り消し」になります=読めばだいたいわかる民法 紙P.39)。

解答例 小問(2)
① Y社のいう、業務不適格者については相対評価あり絶対評価ではないこと。また、営業区域を変更するなど、Xの能力発揮の機会が与えられていないこと
② 通勤手当の不正受給に関しては、結婚までの暫定であり、また、居住地の定義があいまいであること。他の従業員もXと同様に、週に1回程度実家に帰り親の面倒を見ている先輩もおり、これを理由に懲戒解雇された者はいないこと
③ 退職に応じなければ懲戒解雇か少なくとも解雇されるとの言葉を信じたもので、再就職に不利益になると思い自署してしまったこと(錯誤)
④ 錯誤による、退職届であることを、申し出たこと
⑤ 結婚を控え、営業開拓も今後はできそうなこと
※ 5項目以内なので、⑤は不要である可能性があります。

解答例 小問(3)
① 解雇事由に「労働能力が著しく劣悪で改善の見込みがないこと」があり、2年連続下位10%となり、これに該当し、業務不適格者に該当すること
② 2年連続で下位10%となったのは、X以外なかったこと
③ 懲戒解雇事由に、「会社の金品を不正に受領したとき」があり、Xは介護実績がないのにも関わらず、居住地のままに通勤手当を受給通勤手当を不正に受領したこと。また、ほとんどH市には帰宅していないこと。
④ 2年連続下位10%は退職勧奨をし、応じないときは解雇とする制度は今はないこと
⑤ ①と退職願は③により、懲戒解雇もあり得るところ、Xの将来を考え退職勧奨したところ、Xも納得して退職願に自署したこと、また、その日のうちに本社人事部で受理されていること

 補足的に説明すると、錯誤等により無効の場合は、その法律行為があったときから、無効になるのですが、それを相手方に主張しなければ、無効の意思表示は有効にならないので、小問(2)の④の項目が入ります。また、退職の意思表示を行えば撤回はできません(民法540条2項)。そして、退職の意思表示の受領権者が受け取る(本問では受理)されてしまうと撤回することができません(民法97条=反対解釈すると、意志表示の到達前であれば、撤回は可能)。この主張が小問(3)の⑤になります。錯誤に関しての記述は、小問(2)の③太字になります。

 退職の意思表示については、平成30年度グループ検討課題第5に設例があり、受験ノートP.46から記述があります。
 読めばだいたいわかる民法では、意志表示の効力の発生に関して(民法97条)はP.41,錯誤(同法95条)はP.38,解除権の行使(同法540条2項)はP.143に解説しています。 ページはいずれも、紙ベースです。


小問(4) 解答指針
小問(2)及び(3)を受け、Xの行った退職願の有効性を考えることになります。小問(2)で錯誤があったこと、かつ、Xの重大な過失がなかったことを立証できれば、本件退職願は無効になりますから、そこが書けていたのか、今一度、検証してみてください。

また、小問(4)は、Xの代理人・Y社の代理人の立場とは書かれていないので、公正な立場で考えてください。ただし、この問題の判断が次の小問(5)の解答に繋がりますので、Y社の原処分が有効と書いた場合には、Xの代理人立場で主張できることはなくなってしまうことに注意です。


解答例 小問(4)
Y社は、退職勧奨は今は行われていないというが、現に、相対評価であるにもかかわらずそれを理由に退職勧奨を行っており、この点に不法性がある。また、Xが自署した退職願について、退職に応じなければ懲戒解雇か少なくとも解雇されるとの言葉を信じたもので錯誤があったこと。もう一つの事由である通勤手当の不正受給についても、住居の定義もあいまいで、同様に実家を居住地として通勤手当を受給しているため、これもXにとって大きな落ち度ではない。よって、当該退職願は、錯誤により無効と判断される可能性が高い。(242字)


小問(5) 解答指針
あっせん手続において、Y社の主張事実も考慮し、かつ、小問(4)の判断根拠を踏まえた、現実的解決策が求められています。Y社が今回退職勧奨を行った理由が、営業成績の不振と通勤手当の不正受給ですから、そこを是正すれば和解につながるのではないかと考えられます。

解答例 小問(5)
本件退職届が、錯誤による意思表示で無効となれば、Xは引き続きY社に残留することになるが、今回Y社の退職勧奨となった理由が、営業成績の劣悪性と通勤手当の不正受給であるので、通勤手当については返還する、営業成績の劣悪性については、Y社は本人に意欲と能力がある限り頑張ってもらいたいと言い、Xは「結婚を控え、営業開拓も今後はできそうである」と言っているので、営業区域を変更してみる等の能力発揮の機会を与え1年程度様子をみることで、和解を目指すことになる。 (223字)


第2問
小問(1) 解答指針
B部長は、名前を伏せてしかも、仮の話として相談していますので、知られたくない内容であると推測できます(後日Cの事件で判明)。なので、仮の話とはいえ、業務に関して知り得た秘密になります。

解答例 小問(1)
イ (受任できない)
従前に名前を隠し仮の事例とはいえ、Bからの相談を受けており、後日Cの依頼で、Cの案件として同一事案であっせんになっていることから、当該Bの相談は紛争解決手続代理業務に関するものとしての、相談であると考えれば、社会保険労務士法第22条第2項の制限を受けるためCの依頼は受けられない。仮に、同法の制限がなくても、Bの相談の際の守秘義務によりCの権利を十分に実現できないため。(185字)




小問(2) 解答指針
社会保険労務士法人の使用人乙と出てきたので、てっきり社会保険労務士法第22条2項4号ないし5号の事件かと思ったのですが、固定残業代の導入のアドバイスをしたのちに、サービス残業されたとの主張ですから、第13回試験第2問小問(1)と同じ内容で、使用人である特定社会保険労務士が退職し開業した後に依頼を受けた事件です。

解答例 小問(2)
イ (受任できない)
使用人時代の固定残業代にかかるアドバイスは、紛争解決手続代理業務に関するものではないので、社会保険労務士法第22条第2項4項ないし号の制限は受けない。しかし、仮にEの依頼を引き受けると、従前の業務遂行の際にD社と協議等を行っていることからそのときの守秘義務により、Eの権利を十分実現し得ない可能性もある。また、D社に対する信義則違反となる。よって、Eの依頼は受けられない。(186字)






取り敢えず、紛争解決手続代理業務試験終わりました。
この後、クリスマス、お正月、バレンタインデーとイベントが目白押しですから、はっちゃけてもよいのではありませんか?
でも、その前に、今日の復元解答は作っておきましょうね[わーい(嬉しい顔)]


さて、おいらも、[ビール]飲もう♪


ここまでお読みいただきましてありがとうございました。(*- -)(*_ _)ペコリ

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コメント 5

受験者

第2問小問(1)に関して
設問では、あえて「一般的な」と記載されていたので、受任できるが正解ではないかと思いますが、いかがでしょう?
by 受験者 (2018-11-25 23:09) 

おきらく社労士

受検者さんへ
一般的な回答をしたとしても、後日Cの事件だとわかる内容の回答をしていることから、協議し賛助したと言えなかったとしても、解答することで、少なくとも信頼関係に基づくもとと考えれば…という展開で22条2項としています。しかし、仮定形の話でもCの話を聞き、Bに助言をしているわけですから、Bの事情も聞いていると空いていて、守秘義務を予備的に記述するように、解答例を作っています。

受検者さんが、仰るように、「受けられる」とするのであれば、22条の制限を受けないこと、一般的な説明で守秘義務にかかる相談事項を受けていないこと、あっせんの場で、B部長とばったり会って、あの時の!(信義則)と言われないことを、採点者に説明できれば、問題ないと思います。
by おきらく社労士 (2018-11-26 08:12) 

ほっちー

第2問の小問2について、参考ご意見お願いします。
倫理問題を最後にして時間がなくなり、あわてて22条2項5号の制限を受ける、と勘違いして書いてしまいました。
ただ、今回は「受任できる」「受任できない」を最初に選択する形式で、「受任できない」にはしました。
しかし、その理由でもちろん守秘義務や信義則について書いたものの、条文が間違っているので、ここはダメだと思いますが.......どうでしょうか?
by ほっちー (2018-11-29 13:34) 

おきらく社労士

ほっちーさんへ
最初問題を見たときに、22条2項4号か5号だと思いましたが、よく読むと、法人勤務時代にアドバイスして、会社はそのように変更した結果紛争になったわけですから、13回と変らない状況ですので、守秘義務や信義則を理由に断るというのは、正しいと考えられます。「条文が間違っている」は、「条文番号を間違えて書いてしまった」と解釈して、コメントしますが…

「○条違反となる」だけで、結論付けている場合は、別のことを指しているので、どれだけ反映されるかわかりません。採点基準が明示されていないので、ダメだとも行けるとも書けないのです。ただ、過去の試験を見る限り、採点者は丁寧に読んで、そのうえで部分点があるように思えるのです。

私ができるのは、合格発表後に復元回答を送っていただいて、そのときに何点であったかを教えてもらって、ここは評価したのかなと推定しかできないのです。その点はご了解ください。

by おきらく社労士 (2018-11-29 13:47) 

ほっちー

お返事ありがとうございます!
部分点にかすかな希望を持って、3月まで過ごします。

発表後はまた、復元解答を送らせてもらいます。
by ほっちー (2018-11-29 15:55) 

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